そろそろ店じまい?

40代のくたびれたおっさんゲイのよしなしごと

終わりよければ全てよしw

 さて、アクリル箱を使ったお手製のテキトー台座で、軸の偏芯にもめげず、モーター追尾による天体写真を撮ることに成功してしまったおじさんである。もちろん、よく見ると、というか、よく見るまでもなく汗、星は微妙に流れていて、全然きっちり止まってはいないのだが、まあ、これくらいは許容範囲だ。そもそも40年前のグラグラ赤道儀だし、主鏡はカビてるんだしね(こればっかw)。

 というわけで、ちょうど頃は3月も半ば、夜半におとめ座が真南の見やすい位置に来るのをいいことに、眼視では全然見えないおとめ座銀河団の暗めの銀河を片っ端から探訪して(もちろん、しょっちゅう迷子にはなりましたよ、ええ)、「うーん、楕円銀河やレンズ状銀河って、見てもなんかあんまりぱっとしないねぇ。やっぱ銀河は渦巻いててナンボだね」とか、聞いたふうなことをほざいて悦に入っていたわけですが、トラブルはそんな時に突然やって来たのである。

 西の低めの空に鏡筒を向けた時のこと、急に画面が乱れて、それまで止まって見えていた星が一斉に流れ出した。あれ、追尾できてないぞ。同時に、歯車のあたりからカタンカタンと等間隔で鋭い音が聞こえだした。

 …いかん、空回りしてる汗

 慌ててモーターを止める。歯車が削れたりしてはかなわんからね。急いで、ちゃっちいお手製台座をチェックしてみるが、特に緩んだり動いたりしている形跡はない。

 恐る恐る、もう一度モーターのスイッチを入れてみると…

 カタン… カタン

 だー、やっぱり空転してる。よく見ると、モーターのトルクに押されてか、台座のアクリル板が微妙に浮き上がっているようだった。不思議なことに、鏡筒の仰角が大きい時には特に問題ないのだが、低めのところへ向けると、浮き上がって空転しだす。

 …うーん、困ったな。とりあえず、増し締めしてみる?

 というわけで、六角レンチを持ってきて、アクリルの箱を止めているネジをよりしっかりと締めてみる。ぐいぐい。

 ぴしっ。

 …あ、割れた汗

 無理に強く締めたら、アクリル板に大きなヒビが入って、それっきりグラグラになってしまった。はい、終了。数時間かけて工作した成果が一瞬にして水の泡。相変わらずのクラッシャー俺… (^_^;

 こうして、新たな装着方法を模索することとなった。同じアクリルで作り直すという選択肢は、ない。もっと厚いちゃんとした板ならともかく、うちにあったテキトーなアクリル箱では、やはりどう見ても強度が足りないのだ。やはり、モーターを固定する台座としては、金属にしくはなし、か。

 というわけで、サイズを測って適当なL型金具を買ってみる。買ったは良いのだが、さて、問題は取り付けだ。これのネジ穴は、うちにあるキリで穴開けてヤスリで広げるなんてわけにはいかないぞ。

 仕方ない、金属用のドリルを買って練習するか、と思ったところでちょっと考えた。例えば、両面テープで貼ってみたりしたらどうだろう。接着材でくっつけてしまうことも考えたのだが、これだと後から調整できないし、将来的に赤道儀ごとEQ5に乗り換えた時に外すのも大変。その点両面テープなら、失敗しても原状回復はより容易。ドリルで穴あけよりずっと手軽だし、ダメもとで試してみるか…

 というわけで、「後から剥がせる超強力なんちゃら」とかいうのを用意して、さっそく貼り付けてみる。うん、ネジよりはだいぶお手軽。簡単かんたん。なになに? 十分な強度を得るために、丸一日はそのまま放置してください?

 一日千秋の思いで一晩待って、翌日の夜に、さっそく試してみる。モーターのスイッチを入れると…

 カタン… カタン

 だー、やっぱだめじゃん泣

 ま、そりゃそうだよね。両面テープってけっこう厚みがあってしかもなんかフワフワしてるし。剥がれはしないけど、浮き上がるのは防げないよなぁ。こりゃいよいよ、ドリルで金属加工か…

 (実はこの時、「こんだけ手間かけても結局うちの赤道儀はもとからグラグラなんだし、もうEQ5に買い替えた方が利口かな」とEQ5の価格を確認してみたのだが、なんかコロナの影響か(中国製なので)、EQ5はどこの店にも在庫がなく、再入荷の予定も何ヶ月も先になっていた。一度カメラで淡い銀河を写す楽しみを知ってしまった今となっては、数ヶ月もまた眼視のみで我慢して、春の銀河の季節をみすみす逃すのはあまりにも忍びないw。というわけで、なんとか今の機材で工夫を続けようということになったわけだが、この時にEQ5が普通に売っていたら、今頃はEQ5を使っていたと思う。今にして思えば、これは、ポンコツおやじは大人しく40年前のポンコツで頑張れ、という天のお告げだったのかもしれんw)

 初心者でも使える金属用ドリルというのをネットで探しながら、未練がましくもう一度、両面テープで貼り付けたモーターをよくよく見てみる。スイッチを入れると、モーターが浮き上がる方向に力が掛かって歯車が外れてしまう。そこで、試しに上から手で押さえておくと、あれ? 外れないぞ。

 と言っても、ずっと手で押さえとくわけにもいかんしなぁ。そもそも、うちの赤道儀は、手が触れた途端に架台がグワンと揺れてブレてしまうし…

 …ヒモで縛ってみたらどうだろう。

 我ながらアホな気はした。まさかね、そんなんでうまくいくはずもないやね。まあでも、ダメでもともと。うまくいかなかったら大人しくドリルを買うことにして、とりあえず一回やってみるか。

 というわけで、しばし考えて、植物の誘引用のビニタイを引っ張り出してくる。ツル植物を支柱に結んだりするときに使う、針金の芯の入ったビニールひもだ。適当な長さに切って、モーターの角に引っ掛けてから、赤道儀本体にぐるっと巻き付けて、きゅっと締める。歯車が噛み込みすぎないように、逆側からももう1本同じようにぐるっと回して、反対方向にも軽く引っ張って締める。うん、これで歯車の噛み具合も調整できて、なんかいい感じ。で、試しにモーターのスイッチを入れてみると…

 …あれ? 動いたよ(嬉)

 なんとその後、一切空転することもなく、なんかちゃんとうまく動くようになってしまったのでした。というわけで、うちの赤道儀のモーターは、両面テープで貼り付けた上にビニタイでぐるぐる巻きという、とてもみっともない姿で、いまだにバリバリ稼働中である。終わりよければ、全てよし笑

見た目?なにそれ、食えるの?うまいの?