そろそろ店じまい?

40代のくたびれたおっさんゲイのよしなしごと

失われたモーターを求めて(注:最初から付いてない)

 さて、やっぱりモータードライブが欲しい、となったわけなのだが、何しろ40年以上前のオンボロ望遠鏡、前にも書いたが、これ用のモーターなどもう売ってないのである。専用品はビクセンMD5というタイプなのだが、オークションなどにも今ちょうど出ているものはない(この次のタイプらしいMD6というのはちょこちょこ出品されるようなのだが、使えるのかどうか全くわからない汗)。なんとか代替品はないのかと思うのだが、何しろニワトリくらいの脳味噌しかないもんで、これがまあ、調べてもよくわからん。

 世の中には、モーターを自作してしまうツワモノなんかもいるようなのだが、ネットにあがっているそうした情報のページなどを見てみると、これがまあ、ステッピングモーターを買ってきて、回路をはんだ付けして自作して、制御プログラムを組んでケーブルで繋いで、最後に「赤道儀本体にドリルでちょっとネジ穴を開けて固定します」とか、なんかすごいのだ。

 …ハードル高すぎ。てか、天文趣味の人って、みんな電気工事とか金属加工とかのエキスパートなんか?(^_^;

 ただのネジすらすぐダメにしてしまう不器用おじさんには、こんなんとてもムリ。てか、書いてあることが半分以上なんのことやらわからん汗。

 やはり、既製品で何とか代用できるものを探すのが吉か(しかも、そもそもちゃんと機能するかすらよくわからないのだから、あまり高価なものもできれば避けたい汗)。

 色々調べるうちに、結局、目指す結果は日周運動の追尾=24時間で360度という同じ速度なのだから、歯車の歯の数さえ合っていれば、モーターは代用できそうだということが判明。うちのポラリス赤道儀(初期型の末期バージョン、次の「ニューポラリス」に変わる直前のタイプらしい)の赤経軸の歯数は144だということまで調べはついたので、144歯のモータードライブを探してみる。

 …あった。

 SkyWatcherという、これまた中国メーカーのEQ5という赤道儀用の外付けモーターが、144歯だった。このEQ5は今時珍しい手動タイプの赤道儀で、モーターはオプション品なので、普通にモーターだけ新品で売っていて、普通に買うことができる。しかも、さすがの中華製で、お値段もそこまで張らない。赤経用の1軸モーターで1諭吉、赤緯用も付いた2軸モーターで2諭吉くらいだ(基本的に、日周運動の追尾だけなら赤経用だけでもよい。追尾エラーまで機械に自動で修正させる、いわゆる「オートガイド」までしようとすると、赤緯用モーターも必要になるらしい)。

 …買いか? これは、買い、なのか?

 そもそもこのEQ5というのはビクセンの新しめの「グレートポラリス赤道儀」なるもののコピー品らしく(40年かけて、「無印」→「ニュー」→「スーパー」→「グレート」と進化したらしいw)、歯車の軸径(5mm)なども同じ、という点も決め手になった。初期型ポラリスに対しても、ある程度の互換性は期待できそうじゃないか。

 というわけで、買ってしまいました中華製モータードライブ。ちょっと奮発して、2軸タイプにしてしまった。実はうちの初期型ポラリス赤道儀赤緯軸は72歯らしく、これに対してEQ5は赤緯軸も144歯らしいので、赤緯用モーターには互換性はないのだが、もし色んな理由で結局うちのオンボロでは全然使えませんでした、となった場合には、赤道儀ごとEQ5に買い替えてしまえば、モーターはそのまま使えて無駄にならない、という計算が働いた。貧乏性おじさんは、転んでもタダでは起きないのだw

 さて、通販で到着した箱を開けてみると、結構ずっしりした剥き出しのモーター2つにコントロール装置とケーブル、電池ボックスのセットが出てきた。RAと書いてある方が赤経用だな。取り付け方を書いた説明書が入っていたが、全く参考にはならなかった。実は基本の仕組みは同じで、ちょっとした工夫ですんなり取り付けられるようになってたりしないかとうっすら期待していたのだが、EQ5は赤道儀本体にモーターを収納するボックスがついていて、その中にモーターをネジ止めする仕組みになっているらしい。うちの初期型ポラリスにはそんなものは影も形もなく、モーターの取り付けはやはり一から自分で工夫しなければならないようだ。うーん、参ったな汗

中華製の144歯用新品モーター。1つなら1諭吉弱

 モーターの入った袋からさらに、クラッチ装置のついた歯車が出てきた。なるほど、この歯車を赤道儀本体の赤経軸に取り付けて、モーター側の歯車と噛み合わせて回すわけね。さっそく、赤経軸の微動ハンドルを外して、軸に歯車をはめてみる。おお、ぴったりだ。ネジを締めて、よし、オッケー。

 …!?

 曲がってないかこれ?汗

 いや、どうも、歯車が中心軸に対して斜めになっているように見えるのだ。というか、よく見たら軸そのものが微妙に斜めに曲がっているようにも見える。え? 気のせいだよねこれ汗

 慌てて、微動ハンドルを軸の反対側に取り付けて回してみる。くるくる。

 …どっひゃー。思いっきり曲がってるよこの軸。

 よく見ると、赤経軸が赤道儀本体から出たところで結構派手に曲がっていて、歯車は止まりかかったコマのように顔を少し外側に向けて、ぐりんぐりんと偏芯して回っていた。しかも、わずかにズレてるとかのレベルではなく、振れ幅3, 4mmはあろうかというくらいの、あからさまなブレ。

 …だー、なんじゃこりゃ。ダメじゃん。

 これはテンションだだ下がりだった。正確な追尾のためには、この赤経ウォーム歯車の工作精度が決定的に重要であるらしく、ほんのわずかな偏芯があるだけでも、星は流れて写ってしまうものらしい。で、うちの望遠鏡のこれは、わずかどころの騒ぎではなく、これじゃあ歯車自体噛み合わないんじゃないの?というレベル。どう見てもアウト汗。普段は微動ハンドルをつけて手動で回すだけだったので、今まで全く気づいていなかったのだが、いったいどうしてこんなことに…

 …あのクソガキ(←自分)

 そういえば昔、天頂付近を見ていた時に、赤経赤緯の微動ハンドルどうしがぶつかって引っかかったのを、横着してそのまま無理やり回して、ガリガリ言わせながら乗り越えたような記憶がかすかにある(しかも一度ならず汗)。今にして思えばあの時か。くそ、クラッシャー小学生オレ、最後の最後にとんでもない置き土産を残して行きやがったな。

 と、ここでふと気づいてぞっとした。もし本来のうちの機種用のMD5というモータードライブを中古で探して買っていたら、この時点ですでに完全に詰んでいるところだった。MD5は歯車を介さずに、モーターの軸をカップラーで赤道儀赤経軸に直結するタイプらしいので、こんなに曲がっていたら、どう考えてもそもそも回らない。こえー、あっち買わないでよかった…

 そう、おっさんのチャレンジはまだ終わってはいないのだ。今回買った歯車式なら、まだ調整の余地はある(たぶんw)。正直、一番肝心なウォーム軸がこんなに曲がっているとわかっていたら、おそらく初めから赤道儀ごと買い替えていたんじゃないかと思う。が、そこそこの金をかけてモーターだけ買ってしまった今となっては、とにかくこれで、どこまでやれるか試してみるしかない…

 とりあえず、歯車の締めネジを一回緩めて、定位置からずっと奥の、なるべく軸の付け根に近い方へずらして付け直してみる。赤経軸自体の回転には特に渋いところもないようなので、内部にはそれほど大きな問題はなく、付け根の所を支点にして、外に出ている部分だけが曲がったのだろう。とすれば、なるべく付け根に近いところなら、それだけ偏芯も少ないはず。

 はたして、もう一度回してみたら、確かにまだ曲がってはいるけれど、回転のブレ幅は1mm程度まで減った。これくらいなら、歯車の歯の部分の深さで吸収できるかもしれん。いわゆるピリオディックモーションはきっととんでもない量になりそうだけど、とりあえず追尾できて写真が撮れれば、少々の流れやズレには目をつぶろう(どうせもともと、カビてる主鏡にグラグラの架台なんだから、まともに写るわけもないw)。どうしてもダメなら、赤道儀ごと買い替えればいいだけのこと。

 …よし、じゃあなんとかこのモーターを赤道儀に取り付けてみよう。

 で、結局これが一番大変だったのだが、それはまた次の話。