そろそろ店じまい?

40代のくたびれたおっさんゲイのよしなしごと

だってただのガスでしょ?

 「星雲」の話である。

 天体観測・天体写真と言うと、「星雲」が花形だったりするわけである。きれいな色の散光星雲だったり、不思議な形の暗黒星雲だったり。

 が、どうも自分はあまり「星雲」に興味がなかったんである。丸い形で実体として浮いてる惑星とか、星がぎっしり集まった球状星団や銀河と違って、なんか、不定形のモヤモヤした雲みたいなもんでしょ? 言ってもただのガスじゃん、みたいなw。しかも、惑星状星雲にいたっては「残骸」みたいなもんだし。死にかけの星が放出したガスが紫外線でボーっと光ってるなんて、なんか悲しい、てか何ならちょっと怖いw

 さらに、これら星雲は、光害地では銀河よりさらに見えづらいらしいとのことで、どうせまたロクに見えないんでしょ、と思っていたせいもあるw。1枚ウン万円もするフィルターを色々に組み合わせて、人工光をカットしたり特定の波長の光だけ通したりとかいろいろ工夫をして、やっと見えるというレベルらしい。しかも、水銀灯には効果のある高価な光害カットフィルターも、最近の白色LEDには無力なんだとか。数年前に周辺の街灯がすべてLED化して、夜中でもギンギンギラギラなうちあたりじゃ、そもそも全然ムリってことだね。はいはい、やめやめ。 (^_^;

 が、ここに来て状況がちょっと変わったのだ。そう、今やおじさんには、強い味方の天体用カメラとモータードライブがある。眼視では望遠鏡を使っても見えない冥王星だのクエーサーだのも見ることができたのだ。ガス雲だって、時間をかければ全く写らないというもんでもないかも。一度試してみても損はないかな。

 まあ、実のところは、5月も末になっておとめ座やかみのけ座が西に沈み、たくさんの銀河が楽しめる季節が終わってしまって、見るものがなくなった、というのが一番大きいw いずれにせよ、ここらでいっちょ星雲も見てみようかな、とお気楽に思い立ったわけである。

 なんでも、ガス雲の中では惑星状星雲が、比較的はっきりしていて見やすいらしい。なるほど、じゃそれを狙ってみよう。惑星状星雲と言えば、こと座のリング状星雲。昔図鑑で見て、赤みがかった輪っかが印象的だったのをおぼえている。が、こと座は北寄り過ぎて、うちのベランダからは見えるか見えないかギリギリ。精確に調べてみたら、リング状星雲M57は屋根の隙間を通る僅かな時間しか見えないことが判明した。ひー。他になんかよさそうな星雲ないかな…

 あった。こぎつね座の亜鈴(あれい)状星雲M27。これも昔図鑑で見たのをおぼえている。こちらはもっと南を通るので見やすそう。よし、じゃ亜鈴状星雲を見ることにしよう。

 こぎつね座なんて今まで見たこともなくて、どこにあるのか全くわからないのだけど、どうやらわし座の北にあるらしい。というわけで、わし座のアルタイル(牽牛星・ひこ星)をファインダーに入れて、北へたどってゆく。少し進むと、や(矢)座という、横一直線に星の並んだ小さな星座が見えてくる。ここにM71という、星がまばらな小さな球状星団があるようなので、ついでに覗いてゆくw

 さらに進むと、いよいよこぎつね座の領域に入る。適当なところでファインダーから接眼レンズに切り替えて、覗いてみたらびっくり。ものすごい星の数だ。この辺は方角的に銀河系(天の川)の中心方向なので、星の密度が明らかに高い。おとめ座あたりの、明るい星が全然なくて真っ暗な視界も、今どこにいるのかわかりにくくて大変なのだけど、これはこれで、画面の中がどこもかしこもぎっしり星だらけで、いきあたりばったりで星図を開いても、どれがどれやらさっぱりわからない汗。これはテキトーに行くと迷うな、というわけで、明るめの星で現在地をしっかり確認した上で、星図とにらめっこしながら慎重に進む。

 どうやらここだ、という場所にたどり着く。カメラのシャッタースピードを5秒に設定すると、ぼやーんとした影が画面に浮かび上がってきた。おお、これか。意外と大きいな。さて、どんな感じに写るやら、というわけで、計20分ほどの露出で写したのがこの写真。

 

こぎつね座の「亜鈴状星雲」M27


 ありゃ、なかなかきれいでないの。(^_^;

 まあ、例によって、ちゃんとした天体写真と比べたらショボいことこの上ないのだけど(露出もたった20分だし)、予想していたよりはずっとまともに写った。フィルターも何も使わないでこれだけ写れば、自分的にはもう充分。てか、たいていの銀河より大きいし、はっきり濃く見えるし、色もいろいろあるし、中心部の白色矮星もちゃんと写ってるし、いちおうちゃんと鉄アレイみたいな形に見えるし、星雲、やっぱ悪くないかも…w

 というわけで、後日こと座のリング状星雲M57も撮ってみた。こちらはだいぶ小さいけれど、これもけっこうはっきりと写った。

 

こと座の「リング状星雲」M57