そろそろ店じまい?

40代のくたびれたおっさんゲイのよしなしごと

系外銀河も見えない話(泣)

 さて、楽しみにしていた球状星団が全く見えずにガッカリ、の初心者星見おじさんだったのだが、並行して「アンドロメダ以外の系外銀河を見る」プロジェクトwも進行中なわけである。なんか、銀河の方がさらに見づらいようなイメージあるんだけど、大丈夫だろうか汗

 ちなみに、我々の銀河系の外にある系外銀河というのは、銀河系内の星が濃い方角では、手前の星々や星間物質などが邪魔になってよく見えないのだそうな。銀河系の端にあたるさびれた田舎の方ほど、隙間が多くて外がよく見えるのだそうで、具体的には、おとめ座とかかみのけ座の方角がそうらしい。「宇宙の窓」とか呼ばれている。そういえば、「おとめ座銀河団」とか「おとめ座銀河団」とか、聞いたことあるぞ(漫画に出てくる暴走族の名前みたいだ)。

 頃は2月の末である。うーん、おとめ座にはちょっと早いな。深夜にならんと上がってこないぞ(うちのベランダからは東側の空は見えない)。1個手前のしし座なら、0時くらいにちょうど天頂付近に南中するんだけど。しし座にもなんか有名な銀河なかったっけ…

 ありました。子供の頃の漠然とした記憶は意外と正確。3つの銀河が近い距離にかたまって、「三つ子銀河」とか言われている。しかもなんか、獅子の後ろ脚のあたりにあるM65、M66、NGC3628と、お腹のあたりにあるM95、M96、M105と、2セットもある(通常「三つ子銀河」と呼ばれるのは前者)。調べてみると、後者はだいぶ小さくて暗いらしいので、前者に狙いを定める。メシエ天体より見づらそうなNGCカタログの銀河が1個入っているのが気になるが、まあ、M65とM66が見えれば、というか、どれか一つでも見えればいいや笑

 というわけで、しし座のしっぽのデネボラ(2等星)から探索開始である。デネボラをファインダーに入れて、天の真西方向に向かって移動してゆくと、デネボラが視界から外れてすぐのところで、逆側にしし座のθ星(3等星。シェルタンという名前がついているらしい)が見えてくる。この星をファインダーの中央にもってきて、今度は南へ移動してゆくと、4等星が一つ視界に入ってくる(ι星)。このθ星とι星を結んだ線のちょうど中間のあたりに、M65とM66があるはずだ。よし、大体このあたりかな。ではいよいよ、接眼レンズで覗いてみよう。

 …見えない。

 まあそうでしょうとも。はじめからすぐ見えるとはもうこっちも思ってないさ(ちっ)。慌てず騒がず、ゆっくり探してみよう。

 M65、M66の2つの銀河がある少し北東側に、4つくらいの7、8等星がきれいに弧を描いて並んだ特徴的な星列がある(これはファインダーでも見える)。手持ちの20mm接眼レンズは視野角0.86度なので(今どきの長焦点アイピースはもっと広いのが普通らしいのだが、何しろ昔のものなのでね汗)、この星列を視野の東北端に追いやってゆけば、視野から外れてすぐに逆側にM65、M66が見えてくるはずなのだ。ところが、どうやっても見えない。球状星団のときと全く同じである。まわりの個々の恒星は全て星図通りの位置にあるのに、そこにあるはずの銀河だけが全く見えない。NGC3628はもちろん、M65もM66も、どれ一つ一切見えないんである。倍率を変えても、いろいろ角度を変えても、一回目をつぶってしばらく休んでからもう一度覗いてみても、何度やっても、銀河だけが忽然と姿を消して全く見えない。

 だー、何だこりゃ。何かの嫌がらせか。それともやっぱり、爆発して(以下略)

 

本当はこんなふうに見えるはず、らしい(これはStellariumでうちの望遠鏡の視野をシミュレートしたもの)


 これは結構ショックだった。球状星団も系外銀河も一切見えないんじゃ、なんか楽しくないよね汗。うーん、しかしなぜだろう。やっぱり40年前のオンボロ機材じゃ、気付かない部分がカビたり曇ったりしててダメ、てことなのか。あるいは、主鏡も副鏡も光軸調整がテキトーなのも関係してるのかな汗。もしくは、そもそもジジイになって目そのものがポンコツになってて見えないとかw

 例によってネット上の情報をあさってみる。すると、次第にいろいろなことがわかってきた。まず、光害というのが、決して甘く見てはいけない重要な要素であること。特に銀河のような淡い天体を見ようとする場合、夜でも明るい空というのは決定的に不利らしい。うちは鉄道の線路が西側そばにあり、しかも車両基地の入口のような場所なので、8本もある線路を一晩中超強力な照明が照らしている。しかも、線路の向こうにあるショッピングモール的なものも、巨大な看板をこれまた煌々と照らして、誰も見てないのに一晩中宣伝に余念が無い。そんなわけで、昔から夜でもだいぶ明るい場所だったのだが、数年前にさらに、自治体が街路の灯りを全て超明るい白色LEDに取り替えたものだから、今では夜中のベランダでも平気で本が読めるくらいの薄明状態である。天体観測をしようとするには、これはこの上ないくらいの悪い環境であるらしい汗

 それにしても、最近の街灯の明るさはちょっとやり過ぎではないかと思う。植物の生育に影響が出るくらいの明るさで、防犯上の意味とかがあるのはまあわかるけど、なにもこんなに昼みたいにしなくてもいいんでない?と思ってしまう。自分などは、真っ暗な山の中でテント泊するのが趣味wということなどもあり、「夜ってのは暗いもんなんだよ」とか思ってしまうのだが、しかし、以前に近所の人が家を建て替えるために前の道路の街灯を一つ撤去したら、別の近所の人が「暗くなった」と言ってすごく怒っていたことがあったので、まあ感覚は人それぞれか(←当たり前)。

 さらに、これは当然のことながら、低空ほど地上の灯りの影響を受けるので、高度の低い天体は光害地ではいっそう見にくくなる。M79だのM4だの、低い所までしか上がらない天体を見ようとしたのが、そもそもの間違いだったのだw

 また、球状星団にも銀河にも、見やすいものと見づらいものがあり、しかもそれは必ずしも明るさや大きさに比例しない、という情報も得た。明るくても淡くて見づらいものや、暗くても意外とはっきり見えるものなど、いろいろなのだそうで、さらに、その差は光害の影響が大きいほど大きくなるらしい。つまり、十分に暗い理想的な環境で観測している人(市販されている本の著者などの専門家の多くはこれに該当するだろう)が言っている「これは見やすい、あれは難しい」というのは、光害まみれの町中では実はあまり参考にならない可能性もある、ということ。実際、M4やM79については、都会の町中で小口径の望遠鏡では、「ほとんど見えない」とはっきり書かれている記述も見つけた。

 なるほどねー、そりゃみんな、でっかい機材を抱えて八ヶ岳とか出かけるわけだ。(^^;

 しかしそれなら、明るい町中でも一番見やすい銀河と球状星団はどれなんだろう。それを選べば見えるかもしれん。逆に、それも見えなかったらもういよいよあかんてことだね…

 リサーチの結果、銀河ではおおぐま座のM81とM82、球状星団ではヘラクレス座のM13がどうやら一番見やすそうだぞということが判明した。よし、これに賭けてみるか…

 

しし座のM65銀河。カメラで撮ればこんなふうに写る(もちろんこれは、最近になって撮ったものw)