そろそろ店じまい?

40代のくたびれたおっさんゲイのよしなしごと

球状星団も見えた!

 さて、ついに望遠鏡で銀河を見ることに成功してすっかりイケイケな初心者星見おじさん、次はいよいよ、これまた前に失敗した球状星団の観測に挑戦である。が、おそらく一番見やすいらしいヘラクレス座のM13は、この時期(3月初め)のうちの南向きベランダでは、夜明け近くなっても見える位置まで来ないらしいことが判明。他にはないかと探してみたところ、りょうけん座のM3というのも、同じくらい大きくて明るくて見やすい球状星団だということがわかった。

 …でも、りょうけん座ってだいぶ北の方にない?汗

 基本的に、うちのベランダから北の空は見えない。が、星図を確認してみると、M3はりょうけん座の領域の中でも一番南の方にあって、うしかい座アルクトゥールスのちょっと北、という場所にあることが分かった。アルクトゥールスもだいぶ高いとこを通るけど、まあ、あのあたりだったらまだ見えるかな。というわけで、さっそく試してみることにする。

 3月になったばかりのまだまだ寒いある晴れた夜中、午前2時過ぎに、ベランダへごそごそと這い出して、あらかじめセッティングしてあった望遠鏡を動かし、オレンジ色にやたら明るく光るアルクトゥールスをファインダーに入れる(うちのベランダからは東の空も見えないので、天頂付近を通る星はほぼ南中高度まで上がらないと見えてこない)。てか望遠鏡冷たっ。

 アルクトゥールスから天の西方向へ視界を動かしてゆくと、すぐにうしかい座のムフリドという3等星が見えてくる。ムフリドを視野の真ん中へんに入れたら、今度は北へと向きを変えて移動してゆく。アルクトゥールスからムフリドまでの距離の2倍ほどを進むと、5等星が1個進行方向に見えてくる(うしかい座の9番星)。この5等星が視野中央に来るくらいまで進むと、視野の西端くらいにもうM3が入っているはずである。実際に見ると、やはりファインダーでは星団の姿は確認できないのだけれど、この日は空が澄んでいて、その辺に小さな星がいくつもきらきらと輝いているのが見えた。なんとなくこのあたりかなと見当をつけて、接眼レンズを覗く。

 例によって一発では見えないが汗、視野内には明るめの星がいくつか見えている。微動ハンドルに手をかけて、なんとなく北へ視野をふってみると、今回は実にあっさりと見えた。

 …ああ、あれか。

 視野の下の端から、ぼうっと白っぽく光るまん丸いものが出てきた。相変わらず霞か雲みたいで、くっきり見えるというわけではないが、銀河よりは白が濃くてだいぶ見やすい。少なくとも、目の錯覚かと疑うようなわかりにくさはない。間違いない、あれがM3だ。

 …いやー、球状星団だ。ほんとにあったよ。ついに見られたなぁ。


 なんというか、本当に形がまん丸で、もやっと白いので、「カビのコロニー?」とか思ってしまったw。シャーレの培地に繁殖させて作った、実験室とかにあるあれだ。「球状星団はカビっぽく見える」。おっさん新発見である。

うちの望遠鏡で見た、M3イメージ図。カビっぽいw


 ものの本には、「じっと見ていると次第に周辺の微光星が分解して見えて来て、星団らしい眺めになる」とか書いてあったので、しばらくじっと観察してみたのだが、どうもそんな気配はなく、いつまでたってもモヤっとしたカビのコロニーにしか見えない。倍率を上げても特に変化はなく、もやっとした白い塊が大きくなるだけである。看板に偽りありという気もするが、まあ、銀河だってうっすいシミにしか見えなかったし、これはこういうもんなんだろうね。光害も関係しているのかな。あるいはそもそも、望遠鏡の口径が足りないのかも。

 いずれにせよ、この年になってついに球状星団をナマでこの目で見た、という事実に変わりはない。やったー。と、いうわけで、「今年の目標」を1週間ちょっとですべて果たした顛末でした。