そろそろ店じまい?

40代のくたびれたおっさんゲイのよしなしごと

天体用カメラ?

 懸案の球状星団や銀河も、40年前の望遠鏡で曲がりなりにも見ることができてご満悦のおっさんなのだったが、しばらくすると、それでもやはり全く見えないものも結構あることが気になってきたのである。てかよく考えてみたらこれって、一番明るくて見やすいいくつかのものを除くと、逆に他は一切見えないってことじゃね?汗

 実はこれらも、写真に撮ると見えるということはわかっているのだ。そう、そもそも望遠鏡など使わなくとも、普通にデジタルカメラを夜空に向けて、絞りf2.8〜4、感度1600か3200くらいでシャッターを4〜5秒間開けるだけで、肉眼では望遠鏡でも一切見えなかったM65もM66も、拡大すると存在がわかる程度のもやっとした極小のシミ状には写る、ということはすでに確認済み。

普通のデジカメで撮ったしし座の銀河(ISO3200、F2.8、4秒)

 (人間の目は入ってきた光をためておくことができないので、微かすぎる光は認識できないが、カメラはシャッターを開けている間中、当たった光を重ねて記録し続けるので、見える濃さまで蓄積することができる、ということらしい。)

 となると、望遠鏡を通した映像を写真に撮れば、眼視では見えない銀河(や球状星団)も、もっと大きくもっとはっきり見ることができるはず。

 …望遠鏡で写真撮りたい。

 もともと写真も趣味の一つなので、ガキの頃から天体写真だって当然撮りたいと思ったことはあったのだ。ところが、子供の頃にちょっと本などで調べてみたところ、天体写真というのはとてもハードルが高いらしいということがわかった。そもそもマニュアル露出が使える一眼レフカメラちゅうもんがないとお話にならないらしいし、その他にもアダプターやらガイドスコープやらいろいろな機材が追加で必要になるらしいし、撮ったあとの現像にも色々特殊な処理が必要らしく(当時はもちろんフィルム)、そのへんの写真屋にぽんと出せば勝手に仕上げてくれるというもんでもないらしい。そもそも、カタログでその必要な機材とやらの価格を見ただけで、もうお手上げだった。半年だか1年だか小遣いを貯めて、極軸望遠鏡(数千円)を買うので精一杯だった小学生の財力では、かなう相手ではなかった笑

 「うん、写真はあきらめよう」と小学生の自分はあっさり考えて、それ以降は眼視だけで行くことにした。で、大人になって写真そのものが趣味になり、さらに時代がデジタルカメラに移った後も、たまに偶然目にする天体写真用の機材の情報には、「赤外線フィルター除去改造」だの、「冷却CCD」だの、意味不明のオソロシげな文字列ととんでもない価格が並んでいて、なるべく近づかないようにしよう、とずっと思ってきたのだ。くわばらくわばら。

 しかしここに来て、こういうのっぴきならない事情で天体写真も撮らなければならなくなった(え?)。しなければならないとなれば是非もない(なんで?)。できるのできないの言ってる場合ではない。やらねばならぬのだ(だからなんでだw)。

 まあほら、そもそも目的が眼視の補助なんだから、ちゃんとした「天体写真」でなくてもいいわけで、目では見えないものが見える程度に写っていれば十分。その程度なら、そんなに高価なものを揃えなくても、テキトーな機材でごまかすんでなんとかならないかな。(^_^;

 そもそも、昔は持っていなかった「一眼レフカメラ」も、今は普通に持っている(しかも何台もw)。アダプターだけ買えば、付けて写真を撮ることくらいはすぐにもできそうだぞ。アダプターだけなら数千円ぽっきり…

 が、実は自分が今使っているカメラはもう結構古い機種で、コンピューターに繋いで外部から操作してシャッターを切るというような芸当ができない。デジタルカメラで撮る今の天体写真は合成が基本らしく、同じコマを100枚とか撮るのが普通らしいので、これをいちいちカメラのリモコンで手動で1枚ずつやるのはとても不便そう。

 さらにこれだと、ただでさえ見えづらくて大変な望遠鏡のピント合わせを、カメラの小さな液晶画面またはEVFでやらなければならない。とても合わせ切る自信はない汗

 …うーん、新しいカメラ、買う? (^_^;

 と、ここで、最近は天体写真専用のCMOSカメラなるものがいろいろあるという情報が目についた。解像度はそれほど高くないけど、その分高感度性能に全振りしているようなカメラなので、天体写真にはまさにピッタリ。通常のカメラよりずっと小型で望遠鏡への取り付けも簡単。繋いだコンピューターから全て制御するので、ピントもPCの大きな画面で拡大して確認し放題だし、何千枚だろうと自分で設定した通りに自動で撮影し放題。うーん、なんて便利なんでしょ。

 …でも、お高いんでしょう?

 ところが、これが思ったよりそうでもないことが判明。もちろん、高いやつはめっちゃ高いのだが、安いものは1万円台からある。例によってすごいぞ中華製状態で笑、自分が欲しいなと思ったやつも、値段を見たら4万円くらいだった。

 うーん、絶妙に微妙な値段。買って買えなくはないぞ。これは困ったな…

 ピンポーン。あれ、なんだろうこんな時間に。荷物の配達かな。え、俺宛? へー、なんだろう。ずいぶん小さい箱だな。あれ? なんか赤くて丸っこい機械が中から出てきたぞ。なになに、CMOSカメラ? なんだろうねこれは。あ、一応レンズ付いてるのか。これを外して、付属のアダプターに付け替えると、おお、望遠鏡の接眼部にピッタリ。で、USBケーブルでコンピューターに繋いで、あらかじめインストールしておいた天体写真用のソフトを立ち上げてカメラの設定をすると、おお、画面に映ったぞ。あ、ここにキャプチャーとかいうボタンがある。押してみよう。あ、撮れた。

 わーい、なんか知らない間に、うちの望遠鏡で写真撮れるようになってたよ。不思議なこともあるもんだねぇ。(^_^;

 …と、茶番はともかく、ふらふらとつい買ってしまった天体用CMOSカメラ(ZWO社のASI385MCというカメラです)、とても面白くて良いものであることは間違いないのですが(今にして思うと、2022年の自分的買ってよかったものナンバーワン)、うちのポンコツ機材でポンコツおじさんが使いこなすには、やはりなかなかにハードルが高いものであったのでした。かくしてここから、泥沼の大奮闘(大げさ)が始まるのですが、それはまた次の話。

こんな形で、シャッターもなければファインダーもないですが、これでも立派なカメラw