そろそろ店じまい?

40代のくたびれたおっさんゲイのよしなしごと

カメラを買ってはみたものの…汗

 さて、ほぼ勢いで、天体用CMOSカメラをふらふらと買ってしまった初心者星見おじさんである。望遠鏡とコンピューターに繋いで、撮影できるようになったところまではよかったのだが、実はうちの機材には、このカメラを繋いで天体の写真を撮るには、根本的にとても大きな問題があったのである。

 …うちの赤道儀には、モータードライブがついていない汗

 星ってのは動いているんである。と言うか、地球が自転しているせいで、地上から見ると動いて見えるのだ(厳密に言うと、星自体も実際動いているらしいのだが、通常目に見える動きは、この日周運動というやつである)。肉眼では全く認識できないくらいのとてもゆっくりした動きだが、望遠鏡は基本ものすごく拡大して見るものなので、望遠鏡で覗く場合には、鏡筒を固定したままだと、星は視野の中をすーっと西へ移動して、倍率にもよるが、30秒から1分程度で見えなくなってしまう。観察を続けたかったら、星の動きに合わせて望遠鏡を常に動かしてやる必要がある。これを追尾と言い、それをやる機械が赤道儀である(経緯台でもできるが、今はその話は省略)。

 赤道儀による追尾は、微動ハンドルを手動で回してやる方法と、モーターを使って自動でやる方法がある。うちの40年選手のオンボロ赤道儀は、当然手動タイプである。実は、眼視の際にはこれでも何も問題ない。40年前にはまだ天体写真の撮影はそれほど一般的ではなく、モーターはオプションというのが普通だったようだ。

 が、今は写真撮影が人気で、今市販されている赤道儀のほとんどはモーターを内蔵している。ええと、つまり、写真撮影するならモーター追尾でないとお話にならないということだ汗。実際、「天体写真のはじめ方」みたいな本を見ると、だいたいまず、「モーター駆動の赤道儀が必要です」と書いてある。

 そう、単に目で見るだけなら、星を追っかける動きが多少ブレようと、少々遅れようと進もうと、視野に入ってさえいれば別に問題ない。ところが、写真の場合はそうはいかないのだ。太陽・月・一部の惑星以外の天体は基本的にとても暗いので、カメラで撮る際には、かなり長い時間露光する必要がある。その間に少しでもブレれば、星は点ではなくて線で写ってしまう。写真に撮る場合には、地球の自転速度に合わせて寸分の狂いもなく常に等速で追尾する必要があるのであって、これを手動でやるのは、まあ無理。

 そもそも地球の自転て、24時間で360度なのだから、1度角動くのに4分。すごく微妙なじわーっとした動きだ。これを手の感覚だけで1mmもずらさずにずーっとやり続けるなんて、ムリムリ(まあ、昔はそうして撮っていた猛者も結構いたらしいですが)。てか実際やってみたら、うちのオンボロ赤道儀はそもそも微動ハンドルに手を触れただけでボヨヨ~ンとたわむので、ハナから無理ゲーでした笑

 てか、そんなことくらいは、いくらアホのおっちゃんでも最初からわかっている。実際ガキの頃に一度「写真も撮りたい」と思った時には、当然「モータードライブも欲しい」と思ったのだった。が、カタログで別売りのモータードライブユニットの価格を見てあえなく挫折。数千円の極軸望遠鏡を買い足すので精一杯だった小学生の小遣いでは、これまたとても太刀打ちできる相手ではなかった笑

 今にして思うと、昔の俺よ、もうちょっと頑張れなかったか、せめて、中学生くらいまで飽きずにその趣味を続けてくれてたら、買えたかもしれなかったのになぁ、「てか、少々無理してでも、モーターくらい買っといてくれよ…」という気分ではある笑。そう、何しろ40年も前の機械、今からでは買おうにも買えないのだ。

 赤道儀のモーターなんて、基本的にそれぞれの機種ごとに専用なので、汎用性などはまあない。うちの機種で使えるモーターは、ヤフオクなどでたまに中古が出ることもあるようなのだが、そもそも40年前の中古、まともに動くんかいな、と思ってしまう。しかも結構な値段がついているし、そもそもいつ出物があるかもわからない。(^_^;

 ならなぜ、モーターもないのにカメラだけ買ったのか、という話なのだが、これが実は、最近の惑星撮影のトレンドを知ったからなのだった。なんでも、今どきは、惑星は動画で撮るのが普通らしいのだ。動画で撮って、それを数百枚とか数千枚の静止画に分解して、1枚に合成する。数百枚の画像に写っている惑星の位置を合わせて重ねるなんて作業も、今はコンピューターを使って半自動でできるらしい。へー、すごいねそりゃ。

 …ん、てことは追尾テキトーでもよくね?(^_^;

 動画ということは、1枚のシャッタースピードは、遅くとも1/15秒とかそんなくらい? これなら、望遠鏡での長焦点撮影でもぎりぎりブレない程度に1枚ずつは写るかも。さらに、コンピューターで重ね合わせができるんだったら、1コマずつは少々ズレてても問題なくね? 極端な話、画面の中に写ってさえいれば合成できねえか? つまり、30秒で画面から消えるとして、全く追尾しなくても450コマも確保できることになるわけで、そんだけあれば十分じゃね?

 …というような希望的観測で、えいやっと買っちゃったわけである。で、実際にやってみたら、惑星では実際、追尾なしあるいは手動でのテキトー追尾でも、一応写ることは写るということが判明。もちろん、ちゃんとモーターで追尾して撮った写真に比べれば画質はたいぶお粗末なわけだが、所詮ポンコツおじさんのポンコツ写真、写ってれば御の字じゃん、ということでw。

金星を撮ってみた。露出の調整を間違えて飛んでしまっているけど、写ることは写る

 

土星もこんな感じで写る

 

 問題は、これが銀河とかでも通用するのか、ということである。そもそも、眼視では見えないようなうっすーい銀河を、写真に撮ってはっきり見たいというのが、天体用カメラに手を出した一番の目的だったわけなので、これで写らないとなったら本末転倒。果たして、巷間言われている「天体写真にはモーター駆動の赤道儀が必須」という常識に真っ向から挑戦して、追尾なしあるいは手動のテキトー追尾でも銀河を撮ることは可能なのか、おっちゃんの疑問に白黒つける運命の時は刻一刻と迫っていたのでした(大げさ)。