やっぱ時代は電動w
結論から言うと、追尾なし、あるいは手動でのテキトー追尾でも、銀河を写すことは可能である。
…「写すだけ」ならね。(^_^;
目標に定めたのは、以前(と言ってもほんの10日ほど前だけどw)眼視では全く見ることができず、涙を飲んだ、しし座のM65、M66銀河である。前の時と同様、まずはファインダーでだいたいこの辺という所まで合わせてから、本体で見る。前回との違いは、覗くのが接眼レンズではなく、カメラに繋がったコンピューターの画面という点だ。
…ほえ?
なんじゃこりゃ。どこ見てんだか全然わかんねーや汗
接眼レンズを使う場合は、まず低倍率で覗いて場所を確認してから、目標の天体を視野の中心に入れて、高倍率に切り替える。ところが、今回買ったASI385MCというこのカメラは、1/1.9インチという小さな撮像素子(たったの200万画素)なので、いきなり百数十倍程度のレンズで覗くのと同じくらいの範囲しか見えない。あらかじめ聞いていた話ではあるが、こりゃ目標の導入は大変だ。というわけで、ファインダーでもはっきり見える明るめの星を入れ直して、そこから星図を頼りに画面上で順番に辿ってゆくやり方に変更。やってみると、確かに時間はかかるのだが、カメラのゲイン(感度)を上げれば、だいぶ暗めの星も画面上ではっきり見えるようになるので、接眼レンズで見えるか見えないかのかすかな星を目を凝らしながら探すよりは、やりやすい面もあることがわかった。
ここでついでに、露出の設定もする。シャッタースピードを遅くすれば、より暗い星もはっきり見えてくるのだが、数秒以上とかにすると、画面の切り替わりにそれなりに時間がかかるので、鏡筒を動かしながら画面上で目標の天体を探すという使い方には向かない(途中で迷子になるw)。1/2秒(500ms)程度がよさそうだが、これだと低ゲインではだいぶ明るい星しか見えない(うちの鏡筒はそもそもf10の暗い光学系なので、写真にはかなり不利。写真撮影が一般的になった今では長焦点の鏡筒が流行らないわけが、よくわかりました汗)。というわけで、ゲインを試しに最大にしてみる(このカメラでは600)。お、星図にある星がだいぶ細かく見えてきたぞ。ノイズはすごいけど汗、これは明らかに眼視よりも暗い星まで見えてる。いいぞいいぞ。
というわけで、改めて銀河へ向かう。お、今画面に見えてるのがこの星並びだね。ちゃんと星図どおりだなぁ(当たり前)。とすると、こっからもうひと画面分くらい西へ行くと、四角く並んだ星があって、その端のところに…
…あった。見えたよ。M66だ。
ノイズまみれの画面の中に、もやっとしたシミ状の影が映っていた。星は白っぽく丸く映るので、違いは明らかだった。薄暗く不定形の、ホコリの塊みたいにぼんやり広がった影。ああ、これが夢にまで見た(うそ)、M66銀河だ。どう見てもただの画面の汚れかシミにしか見えないけどw、眼視ではあれだけ頑張っても全く存在すらわからなかった銀河が、はっきり見える。やっぱカメラすげー。
しばし、微動ハンドルでせわしなく追いかけながら、初めて見るM66の眺めを楽しむ。いや、やっぱりどう見ても、ノイズがちょっと濃くなった画面のシミにしか見えないのだけど、これこそが3600万光年かなたの小宇宙。今見ている光は、実に3600万年前に(以下略)。あ、そう言えばこれでまた「一番遠い記録」更新だ。わーい。
そうそう、今日はさらに、撮影するという目的もあったのだった。保存フォーマットを動画に設定して、常時追尾したり、しなかったり、10秒おきに少し動かすようにしてみたり、1分ほどの動画を何パターンか撮影する。さらに今度は隣のM65も確認して(うちのカメラでは画角が狭くて一緒の画面には入らなかった)、こちらも撮影。さて、どんなふうに写ってるのかな…
で、あとから処理して1枚の画像にしてみたのがこれ。
うん、確かに写ってはいる。眼視で一切見えなかった銀河をカメラを通して見るという目的は十分達成できた。さらに、観察の記録をつけるという目的もこれで果たせる。実はオッサンになって記憶力がますますニワトリ化してきていて、目で見ただけだと、何をいつ見てどんなふうに見えたか、全然おぼえてられないのだ(星団とか銀河とか、ぶっちゃけどれもけっこう似たような感じだったりするしねw)。スケッチでも描ければ印象にも残るし一番いいんだろうけど、絵心ゼロだし、写真に撮る方が速い。(^_^;
ただ…
どうせせっかく望遠鏡があって、カメラも買ったんだったら、やっぱりまともな「天体写真」も撮ってみたい。本やネット上で見るようなほんとにきれいなすごいのは無理としても、せめてこんくらい、銀河の渦巻きがわかるくらいのやつは… ほんとはこれくらいの写真は撮れる機材なんだし。
では何が足りないのか。そう、モーターである。モーターさえあれば、もう少しまともな写真も(きっと)撮れる。こうして、40年前の望遠鏡にモータードライブをつけようという泥沼にハマるオジサンなのでありました汗
カメラを買ってはみたものの…汗
さて、ほぼ勢いで、天体用CMOSカメラをふらふらと買ってしまった初心者星見おじさんである。望遠鏡とコンピューターに繋いで、撮影できるようになったところまではよかったのだが、実はうちの機材には、このカメラを繋いで天体の写真を撮るには、根本的にとても大きな問題があったのである。
…うちの赤道儀には、モータードライブがついていない汗
星ってのは動いているんである。と言うか、地球が自転しているせいで、地上から見ると動いて見えるのだ(厳密に言うと、星自体も実際動いているらしいのだが、通常目に見える動きは、この日周運動というやつである)。肉眼では全く認識できないくらいのとてもゆっくりした動きだが、望遠鏡は基本ものすごく拡大して見るものなので、望遠鏡で覗く場合には、鏡筒を固定したままだと、星は視野の中をすーっと西へ移動して、倍率にもよるが、30秒から1分程度で見えなくなってしまう。観察を続けたかったら、星の動きに合わせて望遠鏡を常に動かしてやる必要がある。これを追尾と言い、それをやる機械が赤道儀である(経緯台でもできるが、今はその話は省略)。
赤道儀による追尾は、微動ハンドルを手動で回してやる方法と、モーターを使って自動でやる方法がある。うちの40年選手のオンボロ赤道儀は、当然手動タイプである。実は、眼視の際にはこれでも何も問題ない。40年前にはまだ天体写真の撮影はそれほど一般的ではなく、モーターはオプションというのが普通だったようだ。
が、今は写真撮影が人気で、今市販されている赤道儀のほとんどはモーターを内蔵している。ええと、つまり、写真撮影するならモーター追尾でないとお話にならないということだ汗。実際、「天体写真のはじめ方」みたいな本を見ると、だいたいまず、「モーター駆動の赤道儀が必要です」と書いてある。
そう、単に目で見るだけなら、星を追っかける動きが多少ブレようと、少々遅れようと進もうと、視野に入ってさえいれば別に問題ない。ところが、写真の場合はそうはいかないのだ。太陽・月・一部の惑星以外の天体は基本的にとても暗いので、カメラで撮る際には、かなり長い時間露光する必要がある。その間に少しでもブレれば、星は点ではなくて線で写ってしまう。写真に撮る場合には、地球の自転速度に合わせて寸分の狂いもなく常に等速で追尾する必要があるのであって、これを手動でやるのは、まあ無理。
そもそも地球の自転て、24時間で360度なのだから、1度角動くのに4分。すごく微妙なじわーっとした動きだ。これを手の感覚だけで1mmもずらさずにずーっとやり続けるなんて、ムリムリ(まあ、昔はそうして撮っていた猛者も結構いたらしいですが)。てか実際やってみたら、うちのオンボロ赤道儀はそもそも微動ハンドルに手を触れただけでボヨヨ~ンとたわむので、ハナから無理ゲーでした笑
てか、そんなことくらいは、いくらアホのおっちゃんでも最初からわかっている。実際ガキの頃に一度「写真も撮りたい」と思った時には、当然「モータードライブも欲しい」と思ったのだった。が、カタログで別売りのモータードライブユニットの価格を見てあえなく挫折。数千円の極軸望遠鏡を買い足すので精一杯だった小学生の小遣いでは、これまたとても太刀打ちできる相手ではなかった笑
今にして思うと、昔の俺よ、もうちょっと頑張れなかったか、せめて、中学生くらいまで飽きずにその趣味を続けてくれてたら、買えたかもしれなかったのになぁ、「てか、少々無理してでも、モーターくらい買っといてくれよ…」という気分ではある笑。そう、何しろ40年も前の機械、今からでは買おうにも買えないのだ。
赤道儀のモーターなんて、基本的にそれぞれの機種ごとに専用なので、汎用性などはまあない。うちの機種で使えるモーターは、ヤフオクなどでたまに中古が出ることもあるようなのだが、そもそも40年前の中古、まともに動くんかいな、と思ってしまう。しかも結構な値段がついているし、そもそもいつ出物があるかもわからない。(^_^;
ならなぜ、モーターもないのにカメラだけ買ったのか、という話なのだが、これが実は、最近の惑星撮影のトレンドを知ったからなのだった。なんでも、今どきは、惑星は動画で撮るのが普通らしいのだ。動画で撮って、それを数百枚とか数千枚の静止画に分解して、1枚に合成する。数百枚の画像に写っている惑星の位置を合わせて重ねるなんて作業も、今はコンピューターを使って半自動でできるらしい。へー、すごいねそりゃ。
…ん、てことは追尾テキトーでもよくね?(^_^;
動画ということは、1枚のシャッタースピードは、遅くとも1/15秒とかそんなくらい? これなら、望遠鏡での長焦点撮影でもぎりぎりブレない程度に1枚ずつは写るかも。さらに、コンピューターで重ね合わせができるんだったら、1コマずつは少々ズレてても問題なくね? 極端な話、画面の中に写ってさえいれば合成できねえか? つまり、30秒で画面から消えるとして、全く追尾しなくても450コマも確保できることになるわけで、そんだけあれば十分じゃね?
…というような希望的観測で、えいやっと買っちゃったわけである。で、実際にやってみたら、惑星では実際、追尾なしあるいは手動でのテキトー追尾でも、一応写ることは写るということが判明。もちろん、ちゃんとモーターで追尾して撮った写真に比べれば画質はたいぶお粗末なわけだが、所詮ポンコツおじさんのポンコツ写真、写ってれば御の字じゃん、ということでw。
問題は、これが銀河とかでも通用するのか、ということである。そもそも、眼視では見えないようなうっすーい銀河を、写真に撮ってはっきり見たいというのが、天体用カメラに手を出した一番の目的だったわけなので、これで写らないとなったら本末転倒。果たして、巷間言われている「天体写真にはモーター駆動の赤道儀が必須」という常識に真っ向から挑戦して、追尾なしあるいは手動のテキトー追尾でも銀河を撮ることは可能なのか、おっちゃんの疑問に白黒つける運命の時は刻一刻と迫っていたのでした(大げさ)。
天体用カメラ?
懸案の球状星団や銀河も、40年前の望遠鏡で曲がりなりにも見ることができてご満悦のおっさんなのだったが、しばらくすると、それでもやはり全く見えないものも結構あることが気になってきたのである。てかよく考えてみたらこれって、一番明るくて見やすいいくつかのものを除くと、逆に他は一切見えないってことじゃね?汗
実はこれらも、写真に撮ると見えるということはわかっているのだ。そう、そもそも望遠鏡など使わなくとも、普通にデジタルカメラを夜空に向けて、絞りf2.8〜4、感度1600か3200くらいでシャッターを4〜5秒間開けるだけで、肉眼では望遠鏡でも一切見えなかったM65もM66も、拡大すると存在がわかる程度のもやっとした極小のシミ状には写る、ということはすでに確認済み。
(人間の目は入ってきた光をためておくことができないので、微かすぎる光は認識できないが、カメラはシャッターを開けている間中、当たった光を重ねて記録し続けるので、見える濃さまで蓄積することができる、ということらしい。)
となると、望遠鏡を通した映像を写真に撮れば、眼視では見えない銀河(や球状星団)も、もっと大きくもっとはっきり見ることができるはず。
…望遠鏡で写真撮りたい。
もともと写真も趣味の一つなので、ガキの頃から天体写真だって当然撮りたいと思ったことはあったのだ。ところが、子供の頃にちょっと本などで調べてみたところ、天体写真というのはとてもハードルが高いらしいということがわかった。そもそもマニュアル露出が使える一眼レフカメラちゅうもんがないとお話にならないらしいし、その他にもアダプターやらガイドスコープやらいろいろな機材が追加で必要になるらしいし、撮ったあとの現像にも色々特殊な処理が必要らしく(当時はもちろんフィルム)、そのへんの写真屋にぽんと出せば勝手に仕上げてくれるというもんでもないらしい。そもそも、カタログでその必要な機材とやらの価格を見ただけで、もうお手上げだった。半年だか1年だか小遣いを貯めて、極軸望遠鏡(数千円)を買うので精一杯だった小学生の財力では、かなう相手ではなかった笑
「うん、写真はあきらめよう」と小学生の自分はあっさり考えて、それ以降は眼視だけで行くことにした。で、大人になって写真そのものが趣味になり、さらに時代がデジタルカメラに移った後も、たまに偶然目にする天体写真用の機材の情報には、「赤外線フィルター除去改造」だの、「冷却CCD」だの、意味不明のオソロシげな文字列ととんでもない価格が並んでいて、なるべく近づかないようにしよう、とずっと思ってきたのだ。くわばらくわばら。
しかしここに来て、こういうのっぴきならない事情で天体写真も撮らなければならなくなった(え?)。しなければならないとなれば是非もない(なんで?)。できるのできないの言ってる場合ではない。やらねばならぬのだ(だからなんでだw)。
まあほら、そもそも目的が眼視の補助なんだから、ちゃんとした「天体写真」でなくてもいいわけで、目では見えないものが見える程度に写っていれば十分。その程度なら、そんなに高価なものを揃えなくても、テキトーな機材でごまかすんでなんとかならないかな。(^_^;
そもそも、昔は持っていなかった「一眼レフカメラ」も、今は普通に持っている(しかも何台もw)。アダプターだけ買えば、付けて写真を撮ることくらいはすぐにもできそうだぞ。アダプターだけなら数千円ぽっきり…
が、実は自分が今使っているカメラはもう結構古い機種で、コンピューターに繋いで外部から操作してシャッターを切るというような芸当ができない。デジタルカメラで撮る今の天体写真は合成が基本らしく、同じコマを100枚とか撮るのが普通らしいので、これをいちいちカメラのリモコンで手動で1枚ずつやるのはとても不便そう。
さらにこれだと、ただでさえ見えづらくて大変な望遠鏡のピント合わせを、カメラの小さな液晶画面またはEVFでやらなければならない。とても合わせ切る自信はない汗
…うーん、新しいカメラ、買う? (^_^;
と、ここで、最近は天体写真専用のCMOSカメラなるものがいろいろあるという情報が目についた。解像度はそれほど高くないけど、その分高感度性能に全振りしているようなカメラなので、天体写真にはまさにピッタリ。通常のカメラよりずっと小型で望遠鏡への取り付けも簡単。繋いだコンピューターから全て制御するので、ピントもPCの大きな画面で拡大して確認し放題だし、何千枚だろうと自分で設定した通りに自動で撮影し放題。うーん、なんて便利なんでしょ。
…でも、お高いんでしょう?
ところが、これが思ったよりそうでもないことが判明。もちろん、高いやつはめっちゃ高いのだが、安いものは1万円台からある。例によってすごいぞ中華製状態で笑、自分が欲しいなと思ったやつも、値段を見たら4万円くらいだった。
うーん、絶妙に微妙な値段。買って買えなくはないぞ。これは困ったな…
ピンポーン。あれ、なんだろうこんな時間に。荷物の配達かな。え、俺宛? へー、なんだろう。ずいぶん小さい箱だな。あれ? なんか赤くて丸っこい機械が中から出てきたぞ。なになに、CMOSカメラ? なんだろうねこれは。あ、一応レンズ付いてるのか。これを外して、付属のアダプターに付け替えると、おお、望遠鏡の接眼部にピッタリ。で、USBケーブルでコンピューターに繋いで、あらかじめインストールしておいた天体写真用のソフトを立ち上げてカメラの設定をすると、おお、画面に映ったぞ。あ、ここにキャプチャーとかいうボタンがある。押してみよう。あ、撮れた。
わーい、なんか知らない間に、うちの望遠鏡で写真撮れるようになってたよ。不思議なこともあるもんだねぇ。(^_^;
…と、茶番はともかく、ふらふらとつい買ってしまった天体用CMOSカメラ(ZWO社のASI385MCというカメラです)、とても面白くて良いものであることは間違いないのですが(今にして思うと、2022年の自分的買ってよかったものナンバーワン)、うちのポンコツ機材でポンコツおじさんが使いこなすには、やはりなかなかにハードルが高いものであったのでした。かくしてここから、泥沼の大奮闘(大げさ)が始まるのですが、それはまた次の話。
接眼レンズを買ってみる
望遠鏡で星を見るには(少なくとも、眼視での観測には)、鏡筒本体の他に接眼レンズ(アイピース)が必要なわけである。で、うちにある接眼レンズは、はじめからセットで付いていた、20mm、12.5mm、5mmの3本である。うちの鏡筒は焦点距離1000mmなので、これでそれぞれ、50倍、80倍、200倍の倍率になる(倍率は、鏡筒の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離で求められる)。
別にこれで困るということではないのだが、このアイピースのセットには、昔からちょびっと不満をもっていた。まず、50倍の次が80倍というのが中途半端で、わざわざ付け替えても実際の見え方にあまり大きな変化がない。どうせなら10mm、ちょうど100倍だったらいいのに、とずっと思っていた。さらに問題なのは5mmで、これが暗くてもやもやで、いつ何を見ても(月以外)とても見づらい。一般的に、望遠鏡の有効倍率は口径のミリ数の2倍までと言われていて、うちの鏡筒は径100mmなので、200倍だと一応ギリギリこの範囲には収まっている。が、理屈も何もわかっていなかったガキの頃からの実視での感覚では、どうもこれはなるべくたくさん売りたい業界の戦略でw、本当の有効倍率は1.5倍位までではないかと思っている。まあ、これはうちの機材だけの話かもしれないのだけど、200倍というのは文字通り限界の倍率で、ちゃんとまともに見ようと思ったら(月以外は)150倍くらいが限度だろうというのが、おっちゃんの実感である。
要するに、150倍くらいになる接眼レンズが欲しい、ということである。うちで言うと、6〜7mmくらい。
更に実は、がさつな壊し屋wであった小学生の自分が、ファインダーを破壊した他にももう一つ置土産を残していっていたのであって(実はもう一つ後から更に重大な乱暴狼藉が判明して、これが大問題だったのだが、それはまた別の話)、それが接眼筒にかかわることだった。
接眼レンズは、鏡筒本体の接眼筒部分に挿し込んで、それを小さなネジを締めて固定するようになっている。このネジを、子供の頃にどっかで落としてなくしてしまったのだ汗
小学生の頃の自分は、まあただのネジだし、他のでも代用できるっしょ、と考えて、ネジ径を測り、家の道具箱の中をあさって、同じ3mm径の小さなネジを見つけた。ここまではまだ良かったのだが、そこは浅はかな小学生、ネジにはピッチというものがあるということを知らなかったのだ笑
運悪く、道具箱の中から見つけ出したのはドリルビスで、ピッチは0.7くらい。もとのネジは普通のM3なので、0.5。これを無理やりねじ込んだものだから、あっという間にネジ山を破壊してしまった。なんかユルユルになっちゃってやべえな汗とは思ったのだが、ネジを斜めにして更に無理やりねじ込んでみたら、なんとなく止まったから、ま、いっか…
…よくねえよクソガキw
おっさんになった自分としてはもう真っ青である。摩擦で無理やり引っかかって止まっているだけなので、ちょっとしたはずみでポロッととれて接眼レンズがすっぽ抜けそうになる。実は、数十年ぶりに望遠鏡を復活させてから今の今まで、常に片手で接眼レンズが落ちないように支えながらの天体観測だったのである。もうイヤこんな生活w。これもなんとかしなきゃ…
改めてよく見てみると、ネジ穴は接眼筒に直接開けられているわけではなく、接眼筒の先端にアダプターのような部品がついていて、それに開けられている。この部品だけ交換できれば良さそうだが、例によってこんなに古いものはもうないだろうし、と、更に調べたところで、また新しい事実が判明。
うちの接眼レンズは、挿し込む部分の径が24.5mmで、これはツァイスサイズとかドイツサイズとか言われているらしい。
が、これは今ではすっかり流行らない規格らしく、最近売られている機材は、アメリカンサイズとか言う31.7mm径がほぼ標準。
だー、謎のアリガタ式wに続いてまたもや規格変更かよ。それもこれも、全部ドイツが戦争に負けたのが原因か(違う)。
…が、更に調べてみると、このような規格の混在のせいで、この部分を変換するアダプターは逆に今でも普通にいっぱい売られていることも判明。うちのビクセン製の鏡筒の接眼筒部分のネジ径は40.6mmなのだが、ここに付けて31.7mm径の接眼レンズを使えるようにするアダプターも、普通に新品で安価に売っていた。ここにさらにもう一つ、31.7mm径のスリーブに24.5mmのレンズを付けられるようにするアダプターを買い足せば(これも安価でいくらでも売っている)、うちの40年選手のオンボロ接眼レンズ群も問題なくちゃんと使えて、しかも新しいネジでしっかり止めることができる笑。素晴らしい。今度はネジをなくさないように気をつけよう。
この方法の良いところは、今後もし新しく31.7mm径の接眼レンズを買い足したとしても、なんの問題もなくそのまま付けられるところだ。これまた素晴らしい。
…今後?
いや、うちのこの40年選手のポンコツ望遠鏡には、今まさに、新たな可能性が開かれたのだ。最新の今風の接眼レンズも付け放題という、新たな可能性が。
これを、単に可能性という話に留めず、実際に最新のレンズを取付けて、その新たな扉を自ら開いてやることこそが、持ち主としての義務というものではなかろうか。
そうだ、ちょうどレンズのラインナップに少し不満もあったことだし、これはきっと、「この機会に新しい接眼レンズも買ってしまいなさい」という神のお告げなのだ。いや、もうそれに間違いない。買っちゃえ(ぉぃ)。
…だって安かったんだもん。(^_^;
そう、実は、思ったより安いということは、すでに確認済みだったのだ。昔から、カメラの交換レンズなどに比べれば望遠鏡の接眼レンズはだいぶ安かったとは思うのだが、今はもうびっくりするような値段で出ていて、なんか、カメラの交換レンズ1本買うお金があれば、20本くらい買えちゃう感じ?汗
もちろん、高いやつはとても高いのだけど、そこは貧乏人の味方、中華製があるのだw。品質に多少問題があろうと、まあ、40年前の初心者用セットの付属品となら大して変わらんだろうし、そもそもうちの望遠鏡は、主鏡はカビてるし光軸合わせもテキトーなのだ笑。画質を云々するなど、はなからちゃんちゃらおかしいというものだ。
というわけで、買ってみました新しい接眼レンズ。SVBONY社の7-21mmというズームレンズだ。SVBONY社は、前にファインダーを買ったら普通にちゃんとしていたので、今回も選んでみた。ズームの接眼レンズというのは、自分が子供の頃は、そういうものがあるということを聞いて知っていた程度で、もちろん実物を見たことも触ったこともなく、しかもけっこう高価なものだったように思う。いったいどんなもんなのか見てみたいという単なる興味もあって、ズームにしてみた。単焦点はもう持っているということもあるが、1本で3〜4本分をカバーする便利さはやはり魅力。もちろん、単焦点に比べれば画質は落ちるんだろうけど、そもそもうちの望遠鏡は…(以下略)
焦点域の点でも丁度いい。念願の10mm100倍程度の倍率も使えるし、短焦点側は7mmなので、うちの鏡筒だと140倍ちょっと。まさに今自分が求めている通りのスペック。理想的。
そしてなんと言っても一番魅力的なのはお値段。なんと6000円ちょっとで買えてしまう。昔中国製の折り畳み傘が100円で売っているのを見て、いったいどうやったらこんな値段で作れるんだとびっくりしたことがあったのだが、今やこんなものまでこんな値段で汗。正直これなら、もし届いたレンズが段ボールで出来てたとしても、話のネタにするだけで元取れるかも、とか思ってしまうw
例によって通販で買ったのだが、中国本土から届いたっぽい袋を開け、小ぎれいな箱も開けると、中から出てきたのはやはり段ボール製ではなく、ちゃんとしたレンズでした(いい加減失礼かw)。いや、ファインダーに引き続き、思ったよりずっとちゃんとしている。作りもしっかりしているし、実際に星を覗いてみても、見え具合にもなんの不満もない。こうなると、いちいち付け替えずに済むズームレンズはやはり便利で、結局その後はうちの望遠鏡にほとんど付けっぱなしになっていて、こればっかり使っている(高倍率になってもアイポイントが高く、覗き口も広いのでとにかく見やすいというのも大きい)。
低倍率側にすると視野が狭くなるのが顕著で、これはちょっと気になるのだが、実は自分が今まで使っていた古いケルナー20mmの視野角と比べればほぼ全く同じなので、別に悪くなったわけではない。まあ、今どきの長焦点レンズはもっと広いのが当たり前らしいので、そこはズームならではのトレードオフということなんでしょう。
金星を覗いたときに、ものすごい色収差が出てびっくりしたのだが、まあ、これはこんなもんなんでしょう。他の天体では特に問題を感じたことはない。
1点だけ、実は通販サイトのレビューで「ズームリングが固くて回しづらいのが欠点」と書いている人が何人もいたのだが、自分はむしろゆるいのは嫌いなので、その点は全く気にしていなかった。ところが、実際に届いたレンズは全く逆で、ズームリングは固いどころかスカスカ、なんの抵抗もなくスルスル動いてしまう。これは非常に不愉快だ。そもそも、焦点距離なんてそんなにしょっちゅう変えるもんでもなし、固くて何がいけないのか。逆に、ズームと名乗ってたって所詮はバリフォーカルレンズなのだから、不用意に焦点距離が変わると、ピントも一緒にずれてしまう。せっかく細心の注意を払って合わせたピントがずれてはかなわないから、ズームリングに意図せず触れないように、いつも気をつけてないといけない。これはとても不便。
まさかとは思うが、レビューの意見や利用者からの要望を参考にして、メーカーや販売店が調整し直した結果だとしたら残念なことだ。そういう肝心なところは、一般の無責任な意見に安易に迎合せず、技術屋さんが最初に出してきた仕様を貫いて欲しい(まあ実際のところは、意図的な仕様ではなく、単なる製造上のばらつきなんでしょうけど。(^_^; )。
いずれにせよ、「買ってよかった」レンズです。
メキシコの帽子?
夜更かしをして球状星団M3を見た時のことである。うしかい座のアルクトゥールスからたどってM3を探したわけだが、うしかい座が天頂付近に見えているということは、同じく春の星座の代表のおとめ座も真南の方に見えているということだ。おとめ座という星座は、α星のスピカ以外はなんだか暗くて、うちからは肉眼では全然見えないのだが、スピカだけは南の空に白く光っているのが確認できた。おとめ座にはそういえば、ソンブレロ銀河ってなかったっけ…
「ソンブレロ銀河」M104。ちょうど真横から見る形の、端正な紡錘形をした銀河で、真ん中に真っすぐに暗黒帯の線が入ったところが、メキシコのソンブレロ帽みたいに見えるということで、そのあだ名がついたらしい。昔図鑑かなにかで見た写真が、たいそう印象的だった。なので、未だに名前もおぼえている。ひょっとして、見られないかな…
星図を調べてみると、M104はおとめ座の中でも一番南西の方、からす座との境界付近にあるらしい。からす座からたどった方が近そうだ。からす座という星座は今まで見たことがなかったのだが、3等星が4つ、コンパクトな四角形に並んだとてもわかりやすい星座で、双眼鏡でもファインダーでもすぐに確認できた。さっそく、M104の探索に出発だ。
からす座の四角形の北東端の星が、アルゴラブという3等星だ(ファインダーで見ると、すぐ近くにもう一つのやや暗い星を伴っているので、すぐにわかる)。ここからまっすぐ天の北方向に移動すると、アルゴラブが視野の端に行ったあたりで、3つの6等星がやや細長い二等辺三角形に並んだ星列が視野の真ん中に来る。この三角形の北東の端の星から、三角形の辺の長さと同じくらいまた北東に進んだところに、7~8等星がいくつかごちゃっとかたまったものがある(ファインダーでは見えないことも多い。この時はけっこうはっきり見えた)。ここで接眼レンズに覗きかえると、4~5個の星が視界の中に集まっているのが見える。この星の集まりを確認出来たら、そのままさらに北東方向へ進む。うちの20㎜レンズ(視野角0.86度)だと、この星列が視野の南西端の外へちょうど出るか出ないかのところで、逆側からさらに小さな4つの星が集まった星列が見えてくる。これは3つの星が狭い範囲でほぼ一直線に並んだすぐそばに、もう1つ星がくっついたとても特徴的な星列で、なんだか矢印のように見える。この矢印を視野の真ん中に置いて、これが指し示す西の方の先を見れば、20mmレンズならM104はもう視界の端に入っている。
矢印の星列の先をたどると、10等星くらいの暗い星が逆くの字型に並んだ星並びが見える。これのちょうど角にあたる部分に、M104があるはず…
…!!
あった、あれだ。ものすごく小さいけど、案外はっきり見える。おおぐま座のM81よりむしろ見やすいくらいかも。明らかに他の恒星とは違う、両端がとがった細長い光のスジが、そこにはあった。
おおー、ソンブレロ銀河も見えたか。へー、これがそれかぁ。なるほど、確かにソンブレロ帽みたいに…
…全く見えない。(^^;
帽子どころか、ごくかすかに光るスジにしか見えない。中央の部分がより明るくて、言われてみれば、真ん中が少し膨らんでいるように見えなくもないけど、あくまでただのスジ。暗黒帯?なにそれ?て感じw
それにしても暗い。まわりのかすかな星も含めて、視野全体がものすごく暗いので、えらい集中して目を凝らさないと、何もわからなくなる。ずっと見ていると、しまいには視界がささくれだったようになんだかざらざらして見えてきて、目がチカチカしてくる。ちょっとまぶたを閉じて目を休めてから改めて覗くと、あ、またちゃんと見えるようになった。
そんなことを繰り返しながら、またもや数十分間にわたって、全然ソンブレロには見えないソンブレロ銀河を飽かずに眺め続けたおじさんでありました。これは正直全く見えないかもと思っていたので、けっこう感動した(実は、いろんな銀河のうちでもこの銀河は明るくてかなり見やすい方だと後から知った。偶然思い出したのがソンブレロ銀河でよかった。これが「回転花火銀河」だったりした日にゃあ、目も当てられない笑)。なんちゅうても、この銀河までの距離はおよそ3000万光年(!)。M81の「遠いもの記録」を、一気に倍以上更新したぞ。いやあ、今見えてるこのかすかな光は、なんと3000万年も前にあそこを出発して…(以下略)。
(なお、M104までの距離は、自分が昔見た図鑑などでは「およそ5000万光年」となっていたように思うのだが、最近の観測結果では、3000万光年くらいということになったらしい。てか誤差のレベルもすごいぞ宇宙w)
系外銀河を見るのって、楽しい。見えにくくて大変なのだけど、なんと言ってもこの、何千万光年ちゅうケタ違いの遠さは、ロマンだなぁと思う、くたびれたおっさんでありました。